第19号
2004年
10月
1F たかはしクリニック
078(882)6432
2F 大田整形外科クリニック
078(882)8822
3F みよし内科クリニック
078(882)1122
4F 波田眼科
078(882)6338
 発行 メディカルハット
 神戸市灘区岩屋北町5-1-31

             



  走っても走っても続く、果てのないような大地。乾いた土、むき出しの山々、どこからか来て吹き抜けてゆく風、間を流れる水、背の高い木々と枝垂れる緑、日本の何倍もの広さのオーストラリア。
  人々は都市に集まり、それぞれの事情でそれぞれの棲(す)み家を持ち、きっと一人では生きてゆけない。小さないざこざから国と国との戦いまで、その底にいるのは個人のはず。個人の周りには家族がいる。誰もが生まれた時から家族に守られ、自然に触れ、自然の中で育つ。傷つけられながらも黙々といる自然。家族と自然は同じよう。 

  その自然も、重い腰を上げるかのように、地球のあちこちで洪水・干ばつ・嵐・地震と警鐘を鳴らし始めている。その警鐘にどう応えたらよいのだろう。
  日本よりはるかに広い地域から日々集まってくる患者さんは、様々な症状で苦しんでいる。踏み切らざるを得ない手術も多様だ。大黒柱先生はすべて英語の世界で、毎日が修行のようだと、体を張ってパワー全開である。夜も日本から持参した本を見ている。何だかんだと奥さんが話しかけても、へえと聞き流している。それでも週2日程は6時過ぎに帰宅して家族で食事ができる。毎晩夜中に帰宅し土曜も仕事、という日本の状況からすれば、大違い。奥さんも優しくなれる。遅くまで開いているマーケットに出かけ、安い食材を見て回るのも先生の気分転換。1本1000円のワインは高い方で、500円程度で十分と、ワイン造りの盛んな国に広がる文化にも触れて、大満足な先生。飲めない奥さんも飲み始める。

  そんなある夜、大きなカートを先生と押しながら買い物をしていた時のことだ。子供がいない事に気付いて捜すと、小学1年のSO君が少し肌の色が茶色い男の子といるのが見えた。最近イランからきた子だ。頭を白い布で覆(おお)った母親がにこやかにそばを歩いている。イランの子はとてもうれしそうに、黒い瞳をまっすぐにSO君に向けている。SO君は少し大人びた表情で笑うように話している。奥さん、しばらく遠くで見ていたが、その表情の謎を知りたくて、そっと近づいて笑いかけた。SO君のお母さんと知っているその子は、にこっと笑い、「ジャネ」と体を返すSO君にも笑いかけて、母親のところへ走って行った。
  「お母さん、あいつ全然しゃべれなかったのに、英語話せるようになったよ。うまくなったなって言ってたんだ」
  その子は皆と離れてすわり、静かにしていた。まず最初にその子に声をかけたのが、SO君だった。何か言ってもじっとしている彼の背に手を回して、みんなのところへ連れて行ったのだ。それから、彼はいつもSO君のそばにいた。奥さんには、小さなSO君がそれは大きく見えて、ジャガイモやニンジンが山と積まれた間で、雨上がりの青空を見ているようにうれしくて、一人にっこりしながら、無邪気に走り去る子どもを追った。

(大田整形外科クリニック by高江)
    
                                   

 


 

  視力検査に用いられるアルファベットのCのような記号は信用できるのでしょうか?

 

  視力には何か基準がないと客観的にいいのか悪いのか比較ができませんから、世界で通用する取り決めがあります。その一つに「C」に似た記号(ランドルト環といいます)があります。視力というものは、隣り合った二つの点を、別々の点として見分けることができる能力(分解能)を測定するものです。「視力1.0 」は、1m離れた距離から1度の角度の区別がつく見え方として定義されています。「C」(ランドルト環)はそのような基準に合わせて作られており、一般的には5m離れた所から、太さ1.5mm・直径7.5mmの円にある幅1.5mmの切れ目が区別できる視力が1.0となります。

  この視力というものは自覚的な見え方を評価するものですから、血圧測定や血液検査など、機械を使って数値を出す検査とは評価の仕方が異なります。極端なことを言えば本人が見えないと言えば視力は「0(なし)」になってしまいます。視力検査はその人が持っている最高の視力を判定するものですが、自覚的なものなので、ある意味検査を受ける人のやる気にかかっていることも事実です。病気の有無を診るため、視力の発育を診るためなど、視力測定の意義を理解した上での検査は信用できると考えていいと思います。 
  ただ、より信用できる値にするための工夫が必要な場合はあります。視力に影響を与える眼科的な病気がないかを同時に調べることも大切です。とくに子供の場合は、見えたことを大人のように的確に表現できないことや集中力の問題などから、視力を評価しづらいこともあります。このため、繰り返して視力を測定することや、左右差がないかなど、他の基準も合わせて評価し、信頼性の高い検査結果を出すようにしています。

(波田眼科  波田 順次)