第18号
2004年
7月
1F たかはしクリニック
078(882)6432
2F 大田整形外科クリニック
078(882)8822
3F みよし内科クリニック
078(882)1122
4F 波田眼科
078(882)6338
 発行 メディカルハット
 神戸市灘区岩屋北町5-1-31

             


  今回は、発熱のメカニズムとその対応についてお話します。
  発熱は子どもには最も訴えの多い症状、病気の重要なサインです。通常体温はわきの下で測りますが、口や直腸などでも測定します。健康な子どものわきの下の体温は、冬に比べて夏は少し上がりますが、平熱は36.5度から37.5度の間と考えてよいでしょう。
  私たちの体で熱を生み出しているのは筋肉と肝臓がほとんどを占めています。熱があるのに震えや悪寒がくるのは不思議な気がしますが、これは、発熱によって全身の筋肉の細かくけいれんしているためです。
  体で作られた熱は、皮膚や、尿、肺などから放散しています。通常は脳の体温調節中枢によって熱の生産と放散のバランスが正常に保たれています。発熱はこのバランスが壊れることによって起きます。発熱を起こす物質(発熱物質)は、専門的にいうと、内因性と外因性とに分けられますが、細菌やウイルスは外因性の代表的なものです。
  一般的に発熱は体の防御反応のひとつで,細菌やウイルスの増殖をおさえる効果があります。ですから、解熱剤で無理に発熱を抑えることは、一見病気がよくなったように見えますが、実は細菌やウイルスは増殖しやすくなり、結果的に病気を長引かせ、重症化させることになりますので使用には注意が必要です。



  発熱すると、子どもは機嫌が悪くなり、脱水を起こし、体力を消耗しがちですので、水分を十分に取り、マイルドな解熱薬を使用することは悪くはありません。また、熱性けいれんがある子は早めに解熱剤も使用します。
  発熱の形には高熱が全然下がらないもの(典型的には腸チフス、心内膜炎、肺炎等)や熱が上がったり下がったり、1日の中でも1度以上変化するもの(典型的には敗血症、扁桃腺炎等の化膿性疾患、免疫疾患)があります。また間歇(かんけつ)熱といって高熱期と無熱が交互にくるもの、一定の間隔で熱が出る回帰熱もあります。こうした発熱の識別は重要ですが、38度以上が1週間続き、検査しても明らかな診断のつかない、まさに不明熱もあります。感染症や若年関節リューマチを含む自己免疫疾患、白血病を含む悪性腫瘍、薬によるものが多いと見られています。例えば、アトロピンという成分を含む風邪薬は顔の紅潮を示し、発熱する場合もあります。他の薬ではペニシリン、サルファ剤などがあげられ、はしかワクチン、血液製剤による発熱もたまにあります。
  重要なのは、発熱の原因・診断をはっきりさせ、その処置を行うことです。薬の場合は、皮膚試験やリンパ球刺激試験が有用の場合もあります。漫然と長期に抗生剤を使用すると心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎を見逃すことがあります。また解熱剤の使用も病気を隠すことがあるので漫然と使用することは避けましょう。成人では20〜25%が不明熱とも言われていますが、子どもの場合は成人より発熱の原因は明らかのことが多いのです。
正確な診断をつけて的確な治療が大切です。

(たかはしクリニック 高橋 利和)

 

 

  夏本番です。蒸し暑い夏は、インフルエンザなどが流行する冬に比べて風邪が少ないと思われがちですが、風邪をひいて来院される方も意外に多くいます。予防や対策はおおむね冬の風邪と同じなのですが(「ハットの待合室第9号」に書かせていただきました)、冬とは違った留意点をいくつか述べさせて下さい。


  ただでさえ、暑くて汗がでる季節。熱がでると食欲はなくなるし、汗をかいて解熱するしで、脱水になりやすい状況に陥ってしまいます。とくにお年寄りは脱水に対する抵抗が弱く、命にかかわることにつながりかねません。一日に必要な飲水量は、汗をかかない冬でも1500cc。夏なら2000ccは摂りたいところです。食欲がないなら、飲み物以外に水分の多く含まれたおかゆやスープを頑張って食べましょう。


  よく聞かれるのが、「扇風機やクーラーは身体に悪いのでは?」という質問です。けれど風邪でふらふらなのに暑さに耐えることは、体力を著しく消耗させます。扇風機・クーラーとも、風が直接身体にあたってしまうと部分的に体温を奪うことになり、体温中枢がおかしくなって決して身体にはよくありません。ですからクーラーの真下に寝たりしないで、お部屋を全体的に25〜28℃くらいにして(まんべんなく空調を行き渡らせるために扇風機で空気を動かすと効果的です)、きちんと掛け布団やタオルケットでお休みになるのがいいでしょう。


  これも質問が多いのですが、基本的には熱が下がっていたら入っていいと思います。入浴は案外体力を使うので、38℃以上の熱があるときはおすすめしません。また湯冷めしてしまうと(冬に比べると危険は下がりますが)せっかく治りかけていたのにぶり返してしまうこともあります。ぬるめのお湯にできるだけさっと入り、身体を早く乾かして、またお休みになって下さい。
  クーラーが普及して、夏でも温度差が激しく、空気の乾燥した、すなわち風邪を引きやすい生活環境となってしまっています。省エネ・地球温暖化防止の観点からも「空調は少し弱めに」を心がけるのが一番の予防かもしれません。

(みよし内科クリニック  三好 彩)


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