第13号
2003年
6月16日
1F たかはしクリニック
078(882)6432
2F 大田整形外科クリニック
078(882)8822
3F みよし内科クリニック
078(882)1122
4F 波田眼科
078(882)6338
 発行 メディカルハット
 神戸市灘区岩屋北町5-1-31

             


  子供の便は、母乳で育てられていると柔らかく、一日に7〜8回はします。体重も増え、元気で、おっぱいもぐいぐい飲む場合は下痢とはいえません。しかし、下痢が2週間以上続き、体重も増えないし、元気がない、飲めない、食べないといった症状がみられる時は難治性下痢と考えられます。以前はミルクも粗悪で、離乳食も十分な物がなく、また衛生的でないため、下痢が何ヶ月も続くことをよく経験しました。カゼと思われる消化不良がもとで、体力・免疫力が低下し、さらに小腸粘膜が壊れ、下痢が続くという悪循環でした。最近はこのような難治性下痢をみることはずいぶん減りました。しかし、現在でも子供の下痢はカゼの次に多い病気です。
  子供は脱水に弱く、すぐ「ぐたっ」とします。おしっこの量が少ない、オムツが濡れない、口が乾いている、唇が青い、目が落ち込んでいる、呼吸が速い、皮膚にはりがないといった場合は、強い脱水です。すぐ受診しましょう。

  子供の下痢のほとんどはウイルス感染が原因です。ロタウイルスは冬から春にかけて発生し、白色便になるのが特徴で、嘔吐も併発し脱水症状をおこします。経口や飛沫で感染します。腸管アデノウイルス、ノーウオークウイルス、エンテロウイルスも原因になります。特効薬はありません。脱水にならないようにする事がもっとも大切です。病院では便の検査、点滴を行います。
  細菌に感染して起きる下痢は、食虫毒の死者がたくさん出た病原大腸菌O−157が有名ですが、他にサルモネラ、腸炎ビブリオ、エルシニア、カンピロバクタ、赤痢等があります。発熱、血便が出るのが特徴です。細菌性下痢は初夏から発生します。ほとんどの場合、抗生剤が有効です。
  食物アレルギーによって下痢、嘔吐を生ずる場合があります。卵、牛乳、大豆が原因としてあげられます。少し年長になるとストレスによって腹痛、下痢が起こる過敏性大腸炎があります。
  多くの下痢はすぐ治りますが、しっかり治療しないと慢性化します。慢性化すると、腸粘膜にある乳糖分解酵素がなくなり、ミルク、牛乳ですぐ下痢をしてしまいます。治療の原則は脱水の対策と腸の安静です。食事と点滴、そして病気にあった薬を調合します。赤ちゃんには母乳が一番いいのです。初乳には免疫のIgA(分泌型免疫グロブリンA)が含まれていますし、温度もカロリーも消化もしやすくなっています。最近のミルクも結局は、母乳に近づけようようとしているだけなのです。普通乳から特殊ミルクまであります。下痢用ミルク(ラクトレス、ノンラクト、ボンラクト)、アレルギー用ミルク(MA−I,エピトレス、ペプヂエット、のびやか)、代謝疾患用ミルクなどがありますが、使う時は主治医に相談してください。
   (たかはしクリニック 高橋 利和)

 

■前回までのあらすじ
  オーストラリア南部アデレードで研修生活を始めた大黒柱先生一家。さっそく言葉の問題に突き当たる。

  考えてもみていただきたい。ファーストネイム(下の名前)で呼び合う、ということ。
 「ねえ、あや。としこがね」「なあに、たかえ」ってな具合に、ヤングな世代が語り合う姿は、日本中どこにでもある。しかし、隣近所の人、町内の人、親戚縁者、職場の仲間や上司の間で呼び合えるだろうか。
 「いやぁ、しゅういち、きのうから腰が椅子に張りついちゃって…」
 「はぁい、としかず、うちの子がこの2、3日、にんじんしか食べなくて…」
 「ああ、じゅんじ、けさから目が開いたままなんだけど…」
かしこまった言い方は続かなくなる。
  整形外科の大学教授は初対面の時、「なんとお呼びしたらよいでしょうか」という大黒柱先生の奥さんの真面目な質問に、「ドン、デイイヨ」と答えた。ドナルドが正式で、それをドンと呼ぶことは、ファーストネイムをさらに短くして、愛称で呼ぶということだ。「あれ、としちゃん」「なに、しゅう」「だから言っただろう、じゅん」となってくる。
 確かに病院では、秘書さんも、立場が下の若い医師も、検査の人も、掃除のおばさんも、教授を「ドン」と呼んでいた。「ドン、手術は3時からだから」とか、「ドン、しょうゆとポン酢どっちが好き?」といった調子である。
   
  決して「としちゃん、先日は孫がお世話になりまして」、とか「あや、主人の頭もよろしくお願いします」とならない。それに「お世話になりまして」「よろしく…」「おかげ様で…」といった言い方が英語にはない。もちろん丁寧な言い方、敬う言い方は英語にもあり、きちんと使われているが、日本語のややこしく、かつ美しい敬語はこの世界では退場していく。そうなると、心の持ち方、気持ちの有り様が話すことの中に大きく反映してくるのだろう。
  病院の中で先生が驚いたことは、毎日のように行なわれる患者さんについての話し合いの中で、上司に対して若い医師たちが自由に意見を述べ、反論もし、教授たちも、それを聞き、応え、本当の討論がなされていることだった。日本の現状を思いながら、これは素晴らしいことだと先生はいう。同じ英語圏の米、英国との交流も気軽に行なわれているため、情報も充実し、医学全体のレベルも高くなってくる。
  先生も奥さんも、ファーストネイムで呼び合うことで、相手に対し素直になり、どこか心地よく感じている自分にすぐ出会うことになった。
=写真はロイヤルアデレード病院
     (大田整形外科クリニック by 高江)