第11号
2003年
3月3日
1F たかはしクリニック
078(882)6432
2F 大田整形外科クリニック
078(882)8822
3F みよし内科クリニック
078(882)1122
4F 波田眼科
078(882)6338
 発行 メディカルハット
 神戸市灘区岩屋北町5-1-31

             



  

第1回のあらすじ
 整形外科の研究のため、オーストラリアに留学することになった先生。奥さんと息子2人の一家4人で南部の都市、アデレードにやってきた。ひょんなことから、学会で出張する大学教授夫妻の自宅に2週間住むことになった。

  「マズ、コレデ 、コウトッテ、 コレニイレテネ・・・」
  ちょっと来て、と言われ、奥さん出て行くと、裏庭に満面の笑みをたたえた教授が両手に小型シャベルとビニール袋を持って立っていた。で、始まったのは、犬のうんちの取り方。以後2週間、教授夫妻が帰るまで、奥さん、山盛りのうんちをとっては水で草を洗う毎日になった。うんざりである。
  電気製品とセキュリティロックの使い方、
娘たちの電話番号・・・客室食堂のテーブル1杯に拡げられた論文の資料だけはさわるな、とそれだけ言って出かけようとする。奥さん、あわてて、「これだけは、絶対使うな、開けるなという物はあるか」と必死に尋ねると、「ナイヨ」と一言。『ソンナモノガ、アルノカイ? 』という顔である。車も家も自由に使え、とは大助かり、国も広いが、心も広い。
  何とかお土産を渡し、にっこりお見送りの後、奥さん、ならばと家の探検だ。まずは冷蔵庫、ジャムとジュースと調味料だけ。ご夫妻とも研究者だからか、シンプルな家具に食器。グラスはパーティ用なのか、やたら数が多い。これなら割っても平気か、と開けては閉め、開けては閉め。やってきたご夫妻の部屋。教授夫人が「私の服を出して、あなたのを入れていいよ」 と言ってくれたクローゼットを開けてみると、いいにおい。何だか罪人にでもなった気がして奥さん、探検を止めた。出せるわけがない。果たして自分たちにこんなことが言えるだろうかと、先生と奥さん、しばしソファー に座り込む。

  
  裏庭に続く居間はガラス張りで、外がよく見える。家の両側は高い塀、裏庭と芝生の部分は、低い木にびっしり青葉がからまって、緑の壁になっている。隣家からは中が見えないし、中から外も見えない。リラックス空間である。
  2才のケイイチは「チッ卜」( シット = おすわり) 「ハウチュ」(ハウス=小屋に入れ)「チュテイ」(ステイ= 止まれ) と、教授に習った初めての英語で、自分の3倍はある犬を従わせている。怖がっていない。兄のソウイチは丸太小屋の上。うちの先生、休むまもなく明朝から仕事。南オーストラリアで最大の救急病院の医師として、大学を出て1、2年のインターン数名をかかえて働くのだ。全て英語。最大級の不安で機嫌が悪い。こういう時は近寄らぬに限る。
  翌朝7時半、先生初出勤。どんな顔で帰ってくるのだろうか。奥さん、2匹の犬と2人の子供にえさをやって、掃除、洗濯、歩いて買い物、生活はそのまま。でも英語。10個で200円のりんご、1本100円のパン、1`80円のじゃがいも、1個80円のパイ。得した気分で午後のお茶。
  と、犬が見えない。子供に聞いてもだめ。家の周りにもいない。低い戸も閉まっている。通りに出る。
  「サニー !」・・・「トイブンー !」・・・。
静まり返る。奥さん青くなる。どうしよう、犬が家出した。
              =写真はアデレード市内
        (大田整形外科クリニック by高江)



 

   豆知

  春は検診のシーズンです。職場の検診などで"異常値"と言われるとちょっとドキッとしますよね。今回は検診でひっかかりやすいコレステロールについてお話します。

1)コレステロールって ??

  「コレステロールが高いと動脈硬化になる」という悪いイメージばかりが先行しがちですが、もともとは身体の細胞やホルモンの材料になったり、消化・吸収に必要な胆汁酸の材料になったりと、生命維持には欠かせない重要な物質なのです。戦前の日本人は現代に比べると低栄養だったため、コレステロールも低く、そのために動脈が弱くなって脳出血が多い民族でした 。塩分摂取が多く血圧も高かったせいもあります。ところが最近では逆に高脂血症の方が多いため、血管がぶ厚く、動脈硬化を起こしてしまい、脳梗塞や心筋梗塞などの血管がつまってしまう病気が増えてきています。

2) コレステロールの正常値

  検診のデータをじっとみてください。ご自分のデータの横に小さく数値が書いてあります。多分180〜220mg/dl となっていると思います。血液1デシリットルあたりのコレステロールの正常値です。でも「私は225 となっているから薬を飲まないといけないの ?」とあわてないでくださいね。
  実は上限値の220mg/dlという値には少しからくりがあります。この数値を決定するにあたり、欧米人の正常値の240mg/dlが基準になりました。日本人は食生活や体型から考えると少し低めに正常値を設定したほうがいいのでは、という考えからこのような正常値が決められたのです。
  では、どのくらいだと実際に動脈硬化を起こしやすくなるのでしょうか。おおざっぱにいうと、240mg/dl は超えないほうがいい、と言われています。しかし、実はこれにも個人差があるのです。性別、年齢、高血圧や糖尿病を合併しているか、またご家族の中に心筋梗塞や脳梗塞を起こした方がいらっしゃるか、たばこは吸うか、などなど。このあたりの細かいお話は次回に続きを書かせていただくことにしましょう。

 (みよし内科クリニック   三好 彩)